株式会社BEC CEO 日記

「Gozal」を運営する会社での日々

労務管理の概念フレームワークを作ってみる

 

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「財務会計の概念フレームワーク」という超絶素晴らしい、体系化された情報コンテンツがある。会計士試験受験時代は購入した会計法規集が擦り切れるほどに、その概念フレームワークを読み込んだ。とても懐かしい。

 

会計基準は帰納法によって生まれた

会計基準というのは、帰納的アプローチによって作成されている。帰納的アプローチというのは、現実の実務で馴染んでいるやり方の中からルールにできそうなものを抽出して、制度を構成するというやり方だ。要するに帰納法による思考で作ったということ。

このやり方の強みは実務でやっていることをベースに制度を作り上げるので、現実と大きく乖離したものを作らずに済む可能性が高いという点。一方で弱点は、現時点で発生している事象しか制度に落とし込めないので、未知の現象や想像を超える現象が発生した際に対応できないということだ。

 

 

概念フレームワークは演繹法によって後で作られたもの

そんな帰納法的な考え方では、新しいテクノロジーを活用したビジネス取引を会計として表現できない。そこで偉大なる会計学の先人たちは、演繹的アプローチによって会計を再定義した。その再定義されたものこそが、概念フレームワークと名付けられた資料に記載されている。

その資料の中では、「資産とはどういうものであるべきか」や「負債とはなんだろうか」という、概念を整理することに全力を注いでいるのである。そのため未知の事象を前にしても、「資産とはこういうものだ。その定義に照らすと、新しく出現したこれは資産の概念にふさわしくない。よって資産ではない」などと判断することができる。

 

 

概念フレームワークによる会計処理判断の事例

例えば、スマホゲームではユーザーが課金することで取得できる「ポイント」や「クリスタル」などと呼ばれる仮想通貨がある。ゲームを有利に進めるためのアイテムと交換できる仮想通貨のことだ。ゲーム運営社はそういった通貨を購入してもらった時点で現金を取得することができる。この現金は運営社から見ると資産だ。

なぜなら概念フレームワークでは「資産とは、過去の取引または事象の結果として、報告主体が支配している経済的資源」と定義されていて、現金はその定義に当てはまるからだ。

しかし、現金が増えた時点では、運営社はまだ収益は認識しない。これはもしかすると意外に思われるかもしれない。

概念フレームワークでは「収益とは、純利益または少数株主損益を増加させる項目であり、特定期間の期末までに生じた資産の増加や負債の減少に見合う額のうち、投資のリスクから解放された部分である」と定義されている。今回の例でいうと、ユーザーが仮想通貨を取得した時点では、運営社の抱えている「投資のリスク」は解放されていないからだ。

この「投資のリスク」の説明をしだすと超絶長くなるので割愛するが、簡単に言うと、ユーザーは仮想通貨を取得したいのではなく、取得した仮想通貨を使って、ゲームを有利に進めることができるアイテムを取得することが取引の目的であり、その目的を達成するまでは、「投資のリスク」はまだ運営社側に残っていると考える。

このように演繹的なアプローチで情報を整理しておくと、概念ベースで経済取引を捉えることによって、今までにない事象の取り扱いでも判断することができる。

 

 

労務管理の中にもそういう文章はあるのか

財務会計の世界では、この概念フレームワークがしっかりと定着している。一方で労務管理はどうなのか。一応ここ半年くらい社会保険労務士試験の勉強を進めてきて、全範囲の学習を終えた。そして起業してから今でもずっと自社の労務管理実務をやってきて、それなりに実務も体験した。その経験の中で、労働関連法を読み込んできたが、概念フレームワークのような文章体系には出会ったことがない。

もしかしたら見落としているだけかもしれないので、もしご存知の方がいたらぜひご教授願いたい。だがもし存在しないのであれば、演繹的アプローチによる概念整理を行うことはとても有益であろう。

今後、働き方は多様化し、さらにはAIの繁栄などにより労働の概念自体が変わっていく可能性すらある。さすがに未曾有の時代変化に対応する概念フレームワークまでは無理だとしても、今想像できる範囲で、労務管理の概念フレームワークを紡いでいくことが次の時代に貢献できることの一つだと思う。

 

 

労務管理を概念で整理していくためのステップ

労務管理の概念を整理する方法は、財務会計の概念フレームワークの構成を盗めばいいだろうと思う。彼らの論理構成をそのまま労務管理の領域に適用できるのかどうか様子を見てみようと思う。

 

STEP1 労務管理の目的定義

STEP2 労務情報の質的特性の定義

STEP3 労務情報の構成要素の定義

STEP4 労務管理における認識と測定

 

概念フレームワークを踏襲すると以上のステップを深ぼっていくことで、何かしら答えは見えてくるだろう。 次回のブログ以降で、ときどき、ちょっとづつ取り組んでいければと思う。