株式会社BEC CEO 日記

「Gozal」を運営する会社での日々

SaaSを運営するためにStartupに必要なチーム構成

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どういうチームでSaaSを運営していくべきなのか、考え続ける必要はあるだろう。「考える」だけではなく、「考え続ける」とすべき理由は、プロダクトも変化するし、時代も変化するし、クライアントも変化するからである。

すごい結果を出したSaaSベンダーから話を聞いたところで、そのTipsがそのまま使えるかどうかはいろいろな変数を検証しなければわからない。

そういった意味も含めて、以下に必要だと思われるメンバーを定義していくが、皆様のご意見を受けて常に更新を行っていきたい。また下記メンバーは人数は関係なく、一人が複数の役割を兼務している場合もあれば、各ポジションに数人がいる場合もある。

 

サーバーサイドエンジニア

サーバーサイドのエンジニアは必須だ。SaaSの命運を分けるのは技術的負債のマネジメントである。効率的なテーブル設計、ユーザー要求パフォーマンスとのバランスを取りながら、プロダクトに眠っている将来的な新概念の可能性を意識する。

弊社でもサーバーサイドエンジニアに、超難易度が高いことを要求してしまっているが、天才的な脳細胞でさばいてくれている。

エンタープライズ向けなサービスでは、マイクロサービスな思想でとにかく柔軟設計にするだけでいい、というわけでもない。レスポンススピードやセキュリティ、視覚的な使いやすさ、API連携容易性など様々な要求項目が存在しているので、全体のバランスを取りながら設計を行うという無理難題に挑むことも多い。

とにかく粘り強く理想を目指しながらも、現実的実現可能性を意識する人が必要である。

 

 

フロントエンドエンジニア

日本のSaaSはこの人材に力を入れている例がまだまだ少ない。が、現場のユーザーが体感する経験において、本当に重要な役割を担っている。味気なく、そして複雑な印象を感じやすいSaaSプロダクトにおいて、フレンドリーでありながらも冗長ではないUI/UXを実現するというのは容易ではない。

そして何よりSaaSプロダクトを本当に使ってくれるユーザーは対象領域の職人的なスキルを持っている方のケースが多いため、エンジニアが業務理解をした上でユーザーの業務上の思考プロセスにあったUIを実現する必要がある。

徹底的にドメイン駆動開発を行う必要がある。その点において、フロントエンドエンジニアが果たすべき役割は小さくない。

 

インフラエンジニア

100%に近い稼働率が要求されるエンタープライズ向けのSaaSプロダクトにおいて、インフラエンジニアはなくてはならない存在である。障害の発生を予防するために能力を発揮しなければならないことはもちろんだが、障害が発生するときのカバーも重要。

またクライアントにとっては、セキュリティも重要な導入意思決定要素となるので、対策を行い、実績を整理・プレゼンする能力も必要である。

サーバーサイドのエンジニアと重なる役割でもあるが、サービスのパフォーマンスに関する責任もある。いかにユーザーに安心と快適さを提供できるのか、その根底部分を支える意味で、重要な存在と言える。

 

 

プロダクトオーナー

この人が果たす仕事によって、人類の発展が10年遅れるか、10年早くなるかなどが変わってくると言っても過言ではない。プロダクトに関わる優先順位を決断する存在であり、いわば「プロダクトの精神」そのものである。

プロダクトオーナーに求められるのは圧倒的な業務経験。人によっては業務経験はなくてもいいという方もいるが、絶対的な知識量と経験値があることによるメリットは計り知れない。

それに加えて必要なのは、ユーザーから話を聞き続け、ドキュメントや自分の声を通じて、プロダクトの方向性を啓蒙していく情熱だ。ただし、依拠すべきは「優先順位を支配する概念」であり、他のすべてのプレッシャーに耐えうるメンタリティを備えていなければならない。

ビジネス要件と、その要件の裏にある本質的な行動理由を整理し、エンジニアやセールス、カスタマーサクセスなどのメンバーにもわかる言葉に翻訳しながら情報を伝えていく。尋常じゃないクオリティと個人技が要求される。

 

 

セールス

日本語で直訳すると「売る人」だが、その辞書的な意味でやれるほどこの人が果たすべき役割は優しくない。セールスとは売るという行為を担当する存在というよりは、「売れる」という概念を科学的に解き明かし、それは各種ステークホルダーに伝えていくことが重要だろう。

売れるには理由があり、その法則を探求して解き明かす。そして、その理由を顧客やエンジニア、カスタマーサクセスに伝える。また顧客が抱えている課題を整理して、解決する優先順位を提案する能力も要求されるだろう。インサイドセールス、フィールドセールスの両方に責任を持つ。

そして、顧客との関係を構築する役割もある。カスタマーサクセスの効率を上げるためには、ビジネスライクな関係性だけでなく、人間関係も良好である方が好ましい。最前線でカスタマーリレーションを向上させる重要な存在だ。ミートアップやリアルな場でのイベント・コミュニティ形成も重要。

 

 

カスタマーサクセス

カスタマーサクセスはSaaSプロダクトの特徴を考えれば、重要であると言わざるをえない。プロダクトを扱うクライアントの担当者は多機能で、複雑なソフトウェアを前にして、慣れていくことが必要となる。

直感的でわかりやすかったとしても、全てをいきなり理解することは難しいし、運用者に聞いた方が安心して利用できるはずである。顧客の悩みや疑問、不安を即時に解消し、安心と快適さを提供する。

またユーザーの行動をモニタリングして、ボトルネックを発見する役割もこの人にかかっている。ユーザーはどうして想定プロセスを逸脱しているのか、課題を解消するに至らないのかを発見し、チーム内にその情報を伝達する。

さらに言えば、科学的にチャーンレートを下げる役割もある。解約に至った過去のユーザーのパターンを把握すること、そしてそのパターンに当てはまるユーザーに対して必要なサポートを実行すること。

カスタマーサクセスがやっていることは、顧客のサポートを行うこと、と呼ぶだけでは不十分だろう。正確には、顧客がSaaSプロダクトによって体験する価値の一つと考えるべきだ。カスタマーサクセスは、ユーザーが継続利用するかどうかの意思決定根拠である、価値体験の重要な一部なのだ。

 

 

メトリクスマネジメント

すべてのステークホルダーとの関係性を数値で整理し、過去、現状から未来を数値で予想することに責任を追う役割だろう。「デフォルトで死んでいるか」とはよく言ったもので、ユニットエコノミクスを把握していないということは、生きているか死んでいるかもわからないことになる。

チーム内の各メンバーの活動の結果を追跡し、常に最新のファクトを整理することがいかに重要なことか、理解する必要がある。単純な会計的なアプローチではなく、キャッシュフローに近い概念で把握することが主流だが、ビジネスモデルや目標の定義によって収集すべき情報は変動する。

集めるべき数値項目を定義することも非常に重要かつ繊細な役割だろう。

 

 

プロジェクトマネジャー

チームの開発手法によってはスクラムマスターなどと呼称しても良いかもしれない。SaaSプロダクトのチーム開発の計画は生き物である。ベロシティなど推測可能性を高めるための細かい努力を継続して行い、予想と実績が乖離するエリアを狭めていくことが重要である。

予見可能性が高まることによって、すべてのチームに良い影響がもたらされるので、継続的なプロジェクトの改善が重要である。いろいろなプレッシャーがかかり、ストレスを感じやすいポジションではあるが、チームとしてのクオリティを高めるためにはこの人の力量と熱量が必要となる。

時にはいろいろなメンバーの悩みや困りごとを聞く役にもなる。各メンバーの個性と状況を把握して、適切に進捗をマネジメントするという離れ業を求められる。

 

 

バックオフィス(財務・法務・労務・税務・知財)

顧客への請求管理や入金確認を行うこと。他にもチームメンバーの勤怠管理、給与計算を処理したり、チームメンバーのライフイベントごとの保険や税金の対応も必要となる。

利用規約、プライバシーポリシーなどの規定や、法律関係のドキュメント整備も要求される。プロダクトが提供するサービスに関して、法的な概念を整理して、リスクを回避し、自社とユーザーの利害調整を行う。

また知的財産に関する取り扱いや、対応も重要となる。特許や意匠権、著作権の侵害対応の重要性も増してきている。そういった法律知識や競合の状態を追跡することが重要だろう。

忘れられがちではあるが、近年バックオフィスに求められる役割は肥大化している。新しい法令への対応、過去にないビジネスモデルに対する会計処理・税務処理、膨大な知財データのキャッチアップ、求める働き方と労働基準法の乖離に対するバランス。

バックオフィスをないがしろにしては、安定的な開発やサポートは実現できない。

 

 

パブリックリレーションズ(広報・PR)

PR担当者がプロダクトに果たすべき役割は大きい。認知を高めて、リードになるべき見込みユーザーが検討する機会を創出することができる。そして、認知やブランディングによって、導入を検討中のユーザーに安心感・信頼感の基盤を醸成することもできる。

他にも、たくさんの効果があるが、SaaSを運営するという点においては、ユーザーに対して認知と信頼感を作っていくことがまずは必要だろう。

 

 

 

マーケター

プロダクトによって課題を解決することができるであろうユーザーを、いかにしてプロダクトに導いていくのか。その論点の責任を持つ。SEO、リファーラル、ソーシャル、Adなどの数値を高めること、そして流入数に対するコンバージョンレートに対する施策もうつ。

各種メディア・チャネルに対して施策をうち、学びを管理し、最適なマーケティングミックスを模索する。