株式会社BEC CEO 日記

「Gozal」を運営する会社での日々

SaaSプロダクトと付き合っていくための4つのこと

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SaaSプロダクトを集中して開発するという体験は人生を通じて、そう何度もできることではない。その経験を共有していくことが社会にとって良いことだろうと思うので、ときどき日々の学びをアウトプットしていきたい。と同時に諸先輩方からアドバイスをもらう機会にもつながりそうなので、発信していく。

 

 

クライアントのクライアントのPLまでイメージする

異なる意見もあるが、B2Bのサービスが採用されるかどうかはロジックで決まる要素が大きい。シンプルに経済的便益を得られるかどうかを見るということだ。そして、それが得られるなら導入する可能性が高くなる。

だからこそSaaSベンダーは見込み顧客のPLにプラスの影響をもたらすことが必達事項となる。PLにマイナスの影響をもたらすサービスに投資することはないだろう。

そしてクライアントのPLを改善するために、そのPLに影響を与えているクライアントのクライアント(取引先)までイメージするとより良いと思っている。その2段階先の企業のPLが、顧客のPLにどのような影響を与えていて、その2社間の親密度はどのくらい固いのかを把握できない限り、十分な提案することは難しい。

 

 

優先順位を支配する概念をぶらさずに保持する

もっとも難しく、もっとも長期的にサービスの繁栄に影響を与える要素として、「優先順位を支配する概念」があると思う。優先順位自体ではなく、優先順位を支配する概念こそが最高に重要だろう。

どういう価値観で、優先順位が規定されているのかということだ。それはサービスに込められた作り手の想いの部分。目指す世界観、目標売上、許容するクオリティ、ターゲットなどの定義を積み重ねて形成される「複雑で明瞭な意志」である。

この意志を崩そうとする様々なプレッシャーと戦い、守る。それができるかどうかが重要なんだろうと思っている。

意志を「変更する」ことは悪いことではなく、意志を「変更させられる」ことが問題だと思う。意志とは、作り手しか紡ぐことができないものであり、どんな時もイニシアチィブは作り手が保持する。

 

 

特許の重要性から目を背けない

特許侵害で訴訟が起こるというのは今後のSaaS領域では当たり前になると認識すべきだろう。今の日本は知財に詳しい経営者が本当に少ないので、あまり論点にならないが、世界のメガベンチャーは特許戦略を科学的に組み立てている。

開発スピードや品質クオリティに自信があるからこそ、特許を保有すべきである。他社に訴訟されるリスクを回避して、安定した開発体制を維持し、人類の発展スピードを早めていくことの方が本質的だろうと思う。

一つ懸念は、くだらない特許が時として成立してしまうことと、その特許権を行使して、訴訟を行ってくる企業だろう。最終的に、その企業の特許を無効化することはできるとしても、リソースや信用を失うリスクが増加するし、力のある会社同士でくだらない争いをすることが誰のメリットになるのかという点。

同業が脱帽し、誉めたたえるほどの特許を目指していく必要があるし、他社に損害を与えることを狙った知財戦略は不要だとは思う。しかし、他者に攻撃するような知財の使い方が実際に存在する以上、自社の開発安定性を保つために、ディフェンスのための特許を保持することの有効性は常に検討する。

 

 

機能ではなく、体験でプロダクトのコアバリューを定義する

すごい便利な機能があったとしても、ユーザーに愛されるのはその機能そのものではない。その機能を含めて、プロダクトがもたらしてくれた体験に対して愛着が湧くのだろう。

「多機能すぎて、使いこなせない」という声によって、Churn Rateが高くなっている状況をよく見る。これはカスタマーサクセスに問題があることを意味していて、ユーザーが体験しているプロセス上のどこかにボトルネックが存在しているはず。

それにもかかわらず、満足していないユーザーに「次に欲しい機能が何か?」をヒアリングして、「機能」をさらに追加してしまう。ボトルネックを発見するリードタイムがさらに伸びて、「機能追加対効果」がどんどん悪化する。さらなる問題はカスタマーサクセスの工数や難易度もどんどん上昇していくことだろう。 

機能を中心にユーザーへの提供価値を制御すると、開発自体は楽だし、スピードはかなり高まるが、結果的に技術的負債とカスタマーサクセス負債を増やすだけだろう。ユーザーへの体験を中心にコアバリューを定義することで、この問題は防げる。